はじめてのひとり旅、大きなバックパックを背負って降り立った国はインドでした。
当時、大学生だった私はそれなりに充実していた生活は送っていたものの何か物足りなく感じ、なぜかふとインドに一人で行ってみようと思い立ったのでした。
バックパッカーのブログを読み漁ったり本を読んでみたり、ある程度の下調べはしていたものの、予定は未定、着いてから決めればいいや、と初めてのひとり旅にしてはかなりマイペースでした。
騙されないように騙されないように…それだけ心の中で強く唱えながらインドに降り立ちました。
空港で待ち構える胡散臭いインド人の客引きをすり抜け、なんとか調べておいたバスで市内までは行けました。
バス停から泊まりたい宿までは細い道が続くため、オートリキシャで移動します。
そこでつかまえたオートリキシャのインド人に「今は大きなフェスティバルが開催されているから道は閉鎖されてるよ。ホテルもクローズしてる。
いい旅行会社を紹介してあげるからそこで相談するといいよ」と言われました。
今思えば胡散臭すぎるこの話、当時の私は「なんだそうなのか。」と、のこのこ旅行会社に着いて行ってしまいました。
旅行会社に入るとまず「外は暑かったでしょう」と冷えたコーラが出てきました。
コーラを一気に飲み干し旅行会社の人と雑談をしたのち、本題に入ります。しばらく大きなフェスティバルが続き、公共交通機関も混み合うため自力で観光して回るのは無理とのこと。
格安ツアーに参加すればフェスティバル中でも、安心に観光できるよ。
とのことでした。「ふむふむ、なるほどね」と大人しく聞くおバカな私。
ところでその格安ツアーはおいくらかと聞くと、とんでもない金額が提示されました。
そこでようやく目の前にいるインド人たちが、私を騙そうとしていることに気づきました。
フェスティバルが開催されているなんて真っ赤な嘘です。
あんなに騙されないように下調べをして、警戒していたのに、悔しさと自分のバカさにカッときて、私は目の前のインド人に怒りをぶつけました。
すると彼は逆ギレです。そして「コーラを飲んだのだからコーラ代を払え」と法外な値段を請求されました。
たしか日本円で1,000円ほどだったと思います。
怒り狂うインド人を無視して外に出ました。すぐに他のオートリキシャを拾うものの、皆、私の行きたい宿ではなくなんとかして私を旅行会社に連れて行こうとするのです。
次第に私の怒りが頂点に達したとき、子供のように大泣きしながら怒りました。
するとよっぽど狂気に見えたのか、あるいは可哀想に見えたのか、さっきまで嘘ばかり言っていたオートリキシャのインド人が「ゴメン」と。やっと私の行きたい宿に向かってくれました。
やっとのことで宿に到着。
1〜2時間で行ける距離、半日かかりました。宿まで乗せてくれたオートリキシャ、降りた時に法外な運賃を請求してきました。
ゴメンって反省したと思ったのになんとも図太いインド人。その頃には目的の場所にたどり着けた安堵感と呆れで、なんだか笑ってしまいました。
そしてあらかじめ調べておいた相場の運賃を渡してお礼を言いました。
わたしの始めてのひとり旅インドの思ひ出。
(28歳 女性)